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編者であるわれわれは,乳幼児精神医学・精神保健の領域においても,臨床活動と研究を行ってきた。その過程で,同領域でわれわれと同じく試行錯誤を繰り返しながら働いている仲間たちが,乳幼児精神保健についての包括的なテキストあるいはハンドブックを必要としていることを痛感してきた。その書籍は,日本における臨床や研究にも基盤を置き,日本語で読めることが望まれる。しかし未だ,その種の書物は世に出ていない。そこでわれわれは,わが国で乳幼児精神保健の各領域において第一線で活躍されている日本の臨床家・研究者を集結して,さきがけとなるハンドブックを発行することを企画した。時代的限界は承知しつつも,わが国の乳幼児精神保健に関わる臨床家や研究者が,この一歩を成し遂げる力をすでに蓄えていると,われわれは信じている。包括的,総合的にこの領域の情報を提供するため,本書はZeanahの編じたハンドブックを1つの参考として,以下のような構成をとった。はじめにZeanahとZeanahが「乳幼児精神保健の展望」と題し,この領域を俯瞰する。次のセクションⅠ「総論:乳幼児精神保健の基礎」では,第1に乳幼児精神保健の意義,精神科の第1次予防が小倉により述べられ,第2に発達の諸側面(神経学的発達,社会・感情的発達,妊娠期の心理)が論述される。次に発達病理学的観点から乳幼児の心理・社会的発達に対する主な危険因子・保護因子が記述される。引き続き評価がまとめられる。セクションⅡ「各論:精神病理・障害と治療」では,主要な精神障害がまず論述され,次にいくつかの代表的な治療が解説される。乳幼児精神保健は,学際的で多職種・多観点を有することがその特徴の1つである。そこで本書の読者にも,乳幼児のこころの健康に関わる多くの職種の方々が想定される。地域の母子保健を支えておられる保健師,心理士,保育士。児童相談所の児童福祉士,心理士,児童精神科医。病院や診療所で働く小児科医,児童精神科医,心理士,看護師。児童養護施設の職員(心理士,福祉士,看護師,保育士)。保育園・幼稚園の職員。大学や研究機関で働く心理士(発達心理学),医師,看護師,保健師,福祉士,などである。また大学関係者については研究者・教員のみならず,学生(特に,発達心理学,臨床心理学,保育学,福祉学,精神医学,小児科学をまなぶ学生)も読者となってもらうべく本書は作成されている。乳幼児のこころの健康を支える仕事に関わっておられる多くの方々に,この書籍が1つの手引きとして役に立つことを願っている。(まえがきより)
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