【書籍の特徴】
制御系で発現する現象は,可能な限り言葉としての数式で表現されねばならない。ところが,数式が示すものと実際の現象が微妙に異なることがある。喉にトゲが刺さったようにもどかしい。しばらくすると,多重フィードバックの符号が反対という稚拙な誤りに気づく。恥じ入るたぐいの間違いではある。しかし,誤りとは,わかるまでには随分と時間がかかるものだ。
この時間を短縮するために,著者らが指導してきた学生達,および博士取得のために在籍していた企業の開発者たちが,実際におかした間違いを演習問題として記載した。すべて実例であって,読者諸氏が本書を使って間違いの仕組みを,正解答と合わせて学習できるように工夫している。目的はただ一つ。制御工学の数式を自在に駆使して,面白い研究開発を行ってほしいのである。
【各章について】
1章では,正しい解答とともにあえて誤解答を記載した本書の特徴を述べている。2章では,サーボモータの制御系設計を含めた合計9個の演習でフィードバック制御の詳解を行っている。3章では,制御系で使用する数学の演習を基礎編として18個,そして,特にブロック線図の扱いを中心とした応用編10個の演習問題を配置している。4章では,時間領域から見るシステムの特性を扱った16個の演習問題を与えている。5章では,時間領域と対の関係にある周波数領域から見たシステムの特性を13個の演習で明らかにしている。6章では,9個の演習問題を使って制御系の安定性を検討する手法を学ぶ。7章では, PID補償,位相進み補償,そしてノッチフィルタなどを使った制御系設計時の留意点を10個の演習問題で扱っている。
【著者からのメッセージ】
数式を多用する制御工学では,理論の誤認は不可避であると考えられる。しかし,正しい解答と誤解答の併記を特徴とする演習問題を使った訓練によって,正しい解答をえる眼力を磨ける。それは,実務の世界での間違いを強烈かつ自然に意識できることにつながり,本質的な研究開発にあてる時間を充実させられる。
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