本書は,大学の学部の2~4年生から大学院修士課程の大学院生を念頭に,地球大気の科学の教科書となるように執筆した。予備知識としては,学部の初年度で微分方程式や線形代数,流体力学,熱力学に関する基礎知識を,ある程度修得しているものとして書かれている。本書は,地球大気の歴史に始まり,地球大気の鉛直構造,南北構造,太陽放射と熱のバランス,雲と降水について概観し,大気力学・熱力学について詳しく解説した。力学・熱力学の章では,連続流体の仮定に始まり,大気力学の基礎方程式系,プリミティブ方程式系,準地衡風方程式を扱った。特に,バランス方程式の導入により,質量保存則,運動量保存則,エネルギー保存則を統一的にまとめた。これらの保存則の背景にある連続流体のハミルトニアンシステムについて詳しく解説した。さらに,大気中の波動,渦位保存則,数値予報の原理,カオスシステムに触れた。地球大気の科学について本格的に学びたい読者にとって,本書が役立つことを願っている。
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