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文化遺産は誰のものなのか?
建造物や遺跡といった旧来の文化遺産にとどまらず、芸能、祭事、はては知識や慣習といった無形の遺産まで――文化遺産を抱えるコミュニティとその担い手たちの視点に立ち、世界各国で加熱する文化現象の実態を描き出す。姉妹編『文明史のなかの文化遺産』とともに、文化遺産学(ヘリテイジ・スタディーズ)にはじめて文化人類学的視点を導入する。国立民族学博物館(みんぱく)機関研究の成果を書籍化。
【目次】
はじめに/略称・略号などの一覧と解説
序 章 「人間不在の文化遺産」という逆説を超えて(飯田 卓)
第一部 無形文化遺産とその影響力
無形文化遺産を語る人たち(岩崎まさみ)
幻影化する無形文化遺産(菅 豊)
遺産登録をめぐるせめぎあい――トン族大歌の事例から(兼重 努)
第二部 無形の遺産の担い手たち
伝承の「舞台裏」――神楽の舞の構造に見る、演技を生み出す力とその伝えられ方(俵木 悟)
映像がとらえる儀礼と音楽――エチオピアのザール憑依儀礼と楽師アズマリを事例に(川瀬 慈)
文化財の演じ方――獅子舞の演者たちの文化財意識(笹原亮二)
第三部 世界遺産のゆくえ
住民不在の世界遺産――文化の担い手への配慮なき遺産保護の限界(高倉健一)
世界遺産のまもり方――民家の移築保存と現地保存をめぐって(才津祐美子)
生活の中に見出された世界遺産――紅河ハニ棚田群の文化的景観(阿部朋恒)
第四部 商品としての無形文化遺産
遺産観光の光と影――中国雲南省・シーサンパンナ、タイ族園の事例より(長谷川 清)
商品化と反商品化――マダガスカル山村の無形文化遺産 (飯田 卓)
第五部 文化行政への問いかけ
変化のただ中の継承者育成――中国の無形文化遺産保護劇団・西安易俗社の事例から(清水拓野)
地域文化遺産の継承(日髙真吾)
おわりに/索引
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