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中国をめぐる問いは、「はたして台頭するのか」から「どのように台頭するのか」へ、そして、「台頭した中国は何を求めているのか」へと変化してきた。
本書は、「大国」意識を強く表明しはじめた中国を理解するための、必須の方法と情報を満載した。執筆は、外国人を含む第一線の研究者8人。専門分野ごとに問いを立て、この「大国」の行方を展望してゆく。
第1部は、政治学からの問い。なぜ、共産党による一党支配は持続するのか。「豊かな権威主義国家」を打ち立てた共産党一党体制の生命力について、体制の安定化と社会の不安定化という二律背反のバイアスに脅かされることなく、冷静に考える。
第2部は、経済学からの問い。なぜ、中国は経済成長に成功できたのか。一般に経済成長のためには、私有財産や知的財産の保障など「法の支配」の実現が必要とされてきた。だが、今日の中国はそれが十分でないにもかかわらず経済成長を遂げた。それはなぜなのか。「創造的破壊」をキーワードに、「民間企業」の重要事例も挙げつつ、経済発展の原動力の源と可能性を考える。
第3部は、安全保障、国際政治学からの問い。はたして中国外交は、「ツキジデスの罠」を克服できるのか。古代ギリシアの歴史家ツキジデスは、「アテネの台頭とそれに対するスパルタの警戒が戦争をもたらした」と洞察した。この洞察は、米中関係にも当てはまるのか。この問いを考察し、台湾問題、南シナ海問題についても、冷静で強靭な分析を行う。
本書の問いは、隣国にとって不可欠な、将来のアイデンティティを問うことでもある。
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