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太陽の100億倍もの質量を持つ巨大ブラックホールは、強力な重力で光さえ飲み込む一方で宇宙でいちばん明るく輝き、光速にちかい速さの「ジェット」を放出しています。200年以上前に予言されながら、まだ誰も見たことのなかったブラックホールの姿が、最先端の天文学によって明らかになりつつあります。
強力な重力で周囲の物質や光を引きつけ飲みこむ一方で、飲みこんだら最後、それらを二度と外に出さない。ブラックホールは、そんな一方通行の弁のような性質を持った、大変不思議な天体です。
SFの世界ではおなじみの天体ですが、こんなものが本当に存在するのでしょうか?
じつは、最近の観測から宇宙にはこのような天体が多数存在することがわかってきています。
ブラックホールを科学的な形で初めて提唱したのは、イギリスのジョン・ミッチェルという科学者で1784年のことでした。さらに、20世紀になると、アインシュタインによる一般相対性理論が、ブラックホールに論理的な裏付けを与えます。そして現在、人類はようやくブラックホールの姿を「見る」ことができる力を手に入れました。
それは、電波干渉計という超高性能の電波望遠鏡です。この望遠鏡の視力は人間でいうと300万にも達します。これは、地球から月面上のテニスボールが見えるくらいの視力に相当します。
本書では、この最高の望遠鏡を使って今まさに観測が進められている、巨大ブラックホール直接撮像の挑戦に迫ります。
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