中井久夫集 2

家族の表象 1983ー1987

中井久夫集

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出版社
みすず書房
著者名
中井久夫
価格
3,520円(本体3,200円+税)
発行年月
2017年4月
判型
B6
ISBN
9784622085720

患者になる人は幼い時から一家の調停者であったかも知れない。
統合失調症の患者の幼い時の特徴は「いい子」「手のかからぬ子」そして「エピソードをまわりが思い出せぬ子」である。
(「家族の表象」1983)

過保護という言葉は、むしろ逃げ口上に使われることが多い。よく聞くと、過保護どころか、保護のひどい薄さに気づく。子も「過保護」と親から聞かされているので、自分は過保護で育ったと思っているが、ちょっと突っ込んで聞くと、安心感を持てない状態がずっと続いていたことがわかる。過保護とは多分、不安を伴った育児のことだろう。保護されたいという親の思いが、子を保護しているという思い込みにすり替えられる。こういうすり替えは実によく起こるものだ。こういう親は、われわれに向かって、まるで他にはそれ以外には考えられないかのように「では放っておいてよいのですか」という。このことばは、親自身のよるべなさと、それへの鬱憤を表わしているのだと私は思う。
(「親の成熟と子どもの自立」1987)

第2巻には、1982年刊行の2冊『分裂病と人類』『精神科治療の覚書』でその名が非専門家にも知れ渡りはじめた時期の文章、長短36編を収録する。

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