特集:相模原事件が私たちに問うもの
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精神科医の仕事はいうまでもなく治安の維持ではなく、治療・健康維持推進である。しかし精神科医療の領域では措置入院という強制入院の制度があるため、医療と司法の境界が曖昧に見えることがある。2016年に発生した相模原事件の報道では、措置入院を適用させなかった医療側の落度で19人が死んだかのようなイメージが出来上がっていた。
この事件を受け、平成29年精神保健福祉法改正の素案には、当初予定されていなかった措置入院制度に関する大幅な変更と指定医取得に関する修正・変更が書き込まれることとなった。この法改正の主眼目は保安であり、犯罪の防止であることが明言されているが、同時に「医療の役割は、治療、健康維持推進を図るもので、犯罪防止は直接的にはその役割ではない。」との矛盾する文章も盛り込まれている。
犯罪を犯す前に身柄を拘束することは予防拘禁であり、重大な人権侵害となり得る。本来警察が持つ司法の権限に対し、精神科医はどこまで責任を持つべきか。医療と警察の協力体制はどのような形が理想的なのか。厚労省による「検証及び再発防止策検討チーム」に参加した精神科医を加えた座談会を収録し、当事者の主張を汲み取りながら、司法と医療の関係性と法制度の改革を検証する。
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