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日本人が長生きになったのは、衛生環境と栄養状態がよくなったことによる。医学の進歩は、数ある原因の一つ。近代化により、私たちの暮らしは飛躍的に便利になり、家事をはじめとする身の回りの数々を他者に委ねてきた。そして、その中に健康管理も含まれる。風邪をひいたら医者に行き、どこかが痛いと言ってはレントゲンを撮る。本来、生き物として、人間が当然やってきたことを、医療の中に囲もうとしている。
著者は人への医療の過剰な介入について、警鐘を鳴らしてきた。がん治療をはじめ、何をどのように変えたいと思ってきたのか? なぜ、がんを治療せず、放置したほうがいいと思うようになってきたのか? その考え方の根本を聞く。
患者として人として自立し、必要な医療を、自分の意志で選ぶために――近藤誠医師のがんという病気をめぐる講義録であり、近藤理論のわかりやすい入門書である。
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