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華厳教学成立の本質を解明する、待望の研究書。
7、8世紀に中国で成立した華厳教学は、中国をはじめ、朝鮮半島、日本などに広く伝わり、東アジアの思想文化に多大な影響を与えてきた。
華厳教学では『華厳経』をよりどころとして研究する。しかし、『華厳経』の研究は唐代以前から、とくに地論学派によって行われてきた。
それでは、華厳教学とは、それまでの『華厳経』研究とどのように異なり、何を明らかにしたのか。
そもそも華厳教学とは何をもって独立した一派と捉えられるのか。
これまで自明のことのように扱われてきたこれらの諸問題を明らかにするのが本書の課題である。
このような問題を考える手法として本書では、智儼(ちごん、602~668)の思想が当時の仏教思想のなかで、どのような位置にあるのかを分析する。
一般的に、華厳教学は唐中期の賢首大師法蔵(けんじゅだいし・ほうぞう、643~712)に至って大成されたといわれている。しかし、法蔵自身は師であった智儼が、その主著である『華厳経捜玄記』を著わしたことをもって華厳教学が創始されたと捉えている。法蔵はまた『華厳経捜玄記』の内容を「別教一乗無尽縁起」と要約した。
こうしたことから本書では、法蔵によって表現された智嚴の思想を、便宜的に「別教一乗」と「無尽縁起」に分け、これら二つの面を前代の仏教思想との関係を考慮しつつ詳細に論じることで、上記の課題を明らかにする。
また、そのために必然的に関わってくる仏教思想の諸概念や論書に対しても多角的に考究し、新知見を提示する。
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