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今年、アメリカ大統領にドナルド・トランプ氏が就任しました。昨年の選挙戦に大きな影響を与えたのが民主党全国委員会などがハッキングされメールが流出した事件です。民主党内の混乱、不和が露わになり、トランプ氏有利に働きました。このハッキングを行ったのはロシアだと考えられています。自らに近いトランプ氏に利するよう、メールを流出させたのです。インターネットが普及し、サイバー空間が「仮想空間」から「現実」へと変わった現在、ハッキングなどのサイバー攻撃は国の運命すら左右することができます。
また、こうした情報戦だけでなく、ウィルスなどを通じて原子力発電所、電車、石油パイプライン、ダムなどのインフラを物理的に破壊するサイバー攻撃も可能です。2009年、アメリカとイスラエルはイランの核燃料施設を「スタックスネット」と呼ばれるマルウェアを通じて破壊しました。インフラを狙ったサイバー攻撃、「見えない戦争」は世界各地で既に行われています。今や、戦争をするのに爆撃機を飛ばす必要はありません。
サイバー攻撃はいかにして進化してきたのか? 本書ではサイバー空間が初めて国家間の争いの舞台になった1986年の「カッコーズ・エッグ」、ロシア、中国がアメリカを攻撃した90年代の「ムーンライト・メイズ」や「タイタン・レイン」 、エドワード・スノーデンによって暴露されたNSA(米国家安全保障局)による世界規模の監視網、不気味な動きを見せる北朝鮮やイラクなど、サイバー攻撃の歴史を紐解きながら今、世界で何が起こっているのかを解説します。ある専門家は、今のサイバー空間は第一次世界大戦前のヨーロッパを彷彿とさせると言っています。これらの動きは日本に住むわれわれにとっても他人事ではありません。日本もすでにサイバー戦争に巻き込まれているのです。来たるべき大きな混乱の時代を生き抜くために必読の一冊です。
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