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本書は1951年に著者がプリンストン大学数学科で行った講義録の日本語訳である。凸集合の研究は19世紀末より多くの研究成果が蓄積されてきたが,それらは主に凸集合の幾何的問題を対象としていた。1905年生まれの著者も生涯幾何学者として研究生活を続けたが,1949年に発表した一連の業績は,凸関数における共役関数を扱った初出の文献である。それは幾何的図形である凸集合ではなく,凸関数を対象としてその双対性に目を向けたもので,その後しばしば引用される業績となった。
本講義録はこの流れに沿って,凸集合の基本的性質を詳細に解説し,凸関数がもつ興味深い多くの性質を明らかにしている。それは幾何学者として培った蘊蓄を活用しながら,幾何と解析の融合を展開し現代的な凸解析研究の嚆矢となる古典的な文献である。
第1章ではユークリッドベクトル空間における凸錐の基本性格を,第2章はアフィン空間における凸集合を,第3章はアフィン空間における凸関数の研究を扱う。ここには幾何学者の発想だが,通常の凸解析の書物では触れられない,独自の凸集合論に対する視点が生かされており,数学や経済学など数理科学に関わる読者が凸解析理論の意義と起源を知るうえでの必読文献となろう。
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