「奨学金」地獄

小学館新書

「奨学金」地獄

取り寄せ不可

出版社
小学館
著者名
岩重佳治
価格
858円(本体780円+税)
発行年月
2017年2月
判型
新書
ISBN
9784098252930

知らずにはすまされない奨学金の実態

今や大学生の2人に1人は奨学金利用者です。その背景には、格差や貧困の拡大で親の経済的援助を受けられない学生の急増と、学費の高騰があります。国立大学の年間授業料は、1971年が1万2000円だったのに対し、昨年度は約54万円、初年度納付金は80万円を超えます。多くの学生は奨学金を借り、生活のためにバイトに明け暮れ、そして数百万円の借金(奨学金)を抱えて卒業するのです。しかし、今は3人に1人は非正規雇用という時代です。生活するのさえ苦しく、奨学金を返したくても返せない人が増えています。一方、2004年に日本育英会から変わった日本学生支援機構の奨学金制度は、金融事業になってしまいました。返済が3ヶ月滞ると金融機関の「ブラックリスト」に入ります。4ヶ月滞納で「サービサー」と呼ばれる債権回収会社の回収が始まり、9ヶ月で裁判所を通じた支払督促がきます。中高年の人の記憶にある、育英会時代ののどかな奨学金とは別物なのです。本書は、返済苦にもがいている人の実例をもとに、今の奨学金制度が抱えている問題点、返済に困った時の救済手段などを、長年この問題に取り組んできた弁護士である著者が詳細に解説します。

【編集担当からのおすすめ情報】
この企画にあたり、実際に奨学金の返済に困っている方々や関係者に取材をさせていただきました。共通しているのは、返済しなくてはいけないという強い責任感です。そのために、就職した会社の給料ではまかなえず風俗で働く人がいます。「自分が返さないと次の若者が借りられなくなる」と過酷な労働の会社で働き続け、過労のため事故死してしまった人がいます。
借りたものを返すのは当たり前です。しかし、3人に1人が非正規雇用という今の社会の中で、就職に失敗する、リストラされる、あるいは病気になって収入が得られなくなるなどは、誰にでも起こりうることだと思います。格差社会の中で苦悩する人々の現実と、昔と違う、奨学金を取り巻く現在の状況を知っていただければと思います。

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