本書は、これまでの病気と健康を二分し、病気を診断し治療するのは医療者であるという受動的な姿勢を逆転させ、これからの医療では生活者一人ひとりが健康を能動的にとらえ、生活者のセルフケア(自助)を土台としなければ医学・医療は成立しない、と提言している。
医療の主人公は生活者であるという視点から、必然的に生活(ライフスタイル)・健康・病気とを一連のものとして捉え、その基底にある、いのちのハタラキである自然治癒力の存在に光を当てている。
いのちの立場、すなわち医療の根本に自然治癒力を据えることで、明日の医療への道筋を明らかにしようとするものである。
これは、本来不可分であるが、あえて図式化すると、病気を治すことはcureの領域であり、いまの一次・二次・三次医療にあたる。病人を癒すことはcareの領域であり、生活環境を調え、支援する看護・福祉にあたる。さらに、一人ひとりが健康を生成する自助・養生は、著者の言うcoreの領域であり、保健・予防医療にあたる。これら、未病・治療・養生を根底から支えているのが、いのち・自然治癒力なのである。
これからの医療者は、この視点を常に頭に入れながら生活者が主人公の医療を行う必要がある。本書はその具体的な理論と実践的な方法論を提示している。
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