取り寄せ不可
著者の岸宣仁氏は、読売新聞経済部記者、フリージャーナリストとして、40年以上にわたり、財界、官界のトップにインタビューしてきました。膨大な取材メモから、経済界の大物たちの?エピソードを一挙公開します。たとえば――。
その一挙手一投足に注目が集まっている黒田東彦日銀総裁には、大蔵省入省4年目の頃から着目してきました。その理由は、仕事ぶりもさることながら、人並み外れた読書量にありました。東京教育大(現・筑波大)付属駒場中・高時代、図書室の蔵書をすべて読破したという伝説の持ち主で、取材にいくといつも、デスクに倫理学、哲学、数学、物理学など幅広いジャンルの本が積まれており、そのほとんどが原語であったことに驚嘆させられます。
かの本田宗一郎に最後にインタビューしたのは、岸氏でした。軽のオープン・カー、ビートの発表会に杖をついて現れたカリスマ経営者は、この新車の周りを何度も回って「いいなあ」を連発。岸氏に遺した言葉からも、晩年までいかに車が好きであったかが伝わってきます。
財務省事務次官、日銀副総裁、大和総研理事長を歴任した武藤敏郎氏は、エリート中のエリートですが、夫人がいかに内助の功を発揮していたか、岸氏の夜討朝駆け取材から明らかになります。
現場一筋の著者の、集大成といえる作品です。
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