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紀元前5-4世紀のアテネでは公と私の緊張・対立が政治的にも倫理的にも取り組むべき火急の課題であった。本書は初期対話篇の四篇と『ポリテイア(国家)』篇を中心にプラトンの人間観,政治哲学,倫理学,魂論に注目し,公と私とは何か,その関係はどうあるべきかを問う。
ポリスのために死んだ戦士を称える「葬送演説」は公を私より優先させるが,ソクラテスが披露する演説はポリスのあり方を「自由」において捉え,自由の根本を市民一人ひとりの個の確立に見て,私を公に優先させる。また「真の僭主」は最大の不正と最大の不幸を体現するが,「哲人王」はそれと対蹠的なあり方を示す。
本書はこれらさまざまな事態について,従来閑却されてきた「公」「私」の対立概念に光を当て総合的に考察する。プラトンは同時代の公私観を吟味・批判し,概念を捉え直し,新たに独自の公私観を構築した。
プラトンは〈一対多〉の人間関係を基礎とする民主政の公的世界に新たな読書空間を創造し,著者と読者が〈一対一〉の対話を通して共同探求する機会を設けた。民主政ポリスを支える市民が自分の考えをもつことが,草の根的にポリスを変容させる源泉となる。それらの営みは時と場を超えて遥か現代にまで響いてくるに違いない。
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