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レコンキスタ―800年に渡るイスラームとの接触と対峙―は、スペインの政治と社会にどのような性格を与えたのか。19世紀末からの、スペイン学界、またフランス学界や英米学界における中世スペイン史の研究動向を網羅的・批判的に検討し、レコンキスタが最も激しさを増した12世紀を中心に、「グレゴリウス改革の影響」「王権と司教座」「王権と騎士修道会」「教会領主と農民」「教会とイスラーム教徒住民」など、多様な論点から史料に基づいて解き明かす。中世のスペインでは、アストゥリアス王国やその後身のカスティーリャ・レオン王国、ナバラ王国や後ウマイヤ朝、ムラービト朝やムワッヒド朝など、国家が目まぐるしく興亡した。本書では、特にアラゴン連合王国の事例を中心軸に据えることで、キリスト教勢力とイスラーム教勢力のパワーバランスの変動などスペイン全体の大きな歴史的流れの把握を可能にし、またアラゴン連合王国との比較や対照を通じ、それぞれの国家の歴史的個性を浮き彫りにする。さらに、これまで論じられることの少なかった、地中海圏におけるローマ帝国やカロリング朝の政治文化面での影響、中世のスペインとフランス王や南フランスの諸領邦、またイタリア諸都市やローマ教皇との関係といった事象も俎上に載せる。中世のラテン=カトリック世界におけるスペインの位置づけ、また中世の地中海世界が有した特徴についても、新たな知見を提供する。
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