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連続25回当選、人呼んで「憲政の神様」。生涯を議会政治、政党政治の確立に捧げた男が敗戦に直面して抱いた苦い思い。「日本に欧米なみな立憲政治を確立することを念願として私は七十余年努力したが、微力のためかついに及ばず、そのために愚かな戦争を始めて無条件降服という未曾有の屈辱を蒙る……私は一生を無駄に過してしまったと思うことがしばしばある」。戦後70年をすぎ、立憲主義が問われるいま、本書の意義は重い。
国会議事堂に隣接する国会前庭内に建つ憲政記念館。この建物は1960年に竣工したときは「尾崎記念館」と呼ばれました(改称は1970年)。第1回総選挙から連続25回当選、代議士生活63年に及び「憲政の神様」と呼ばれた尾崎行雄の業績を讃えてのネーミングです。尾崎は若くして自由民権運動に身を投じ、生涯を護憲と議会政治、政党政治の確立に捧げましたが、戦前の政党政治においては常に傍流、非主流の側にいたと言えるでしょう。実際の歴史も、大正デモクラシーは束の間、軍国主義、ファシズムの波に日本は呑みこまれていきます。どうしてそんなことになってしまったのか……。いったいなにがいけなかったのか……。本書の序文には尾崎の苦い思いが綴られています。
「日本に欧米なみな立憲政治を確立することを念願として私は七十余年努力したが、微力のためかついに及ばず、そのために愚かな戦争を始めて無条件降服という未曾有の屈辱を蒙ることになり、漸く独立した今日も、党争国を亡ぼすのではないかと思われるような状態にある。私は一生を無駄に過してしまったと思うことがしばしばある。」
亡国後の回想は豊富な経験談と人物評に彩られ、教訓と反省(場合によっては勘違い)に満ちています。戦後70年をすぎ、あらためて立憲主義、議会政治、政党政治の本質が問われているいま、本書を繙く意義は重いと確信します。
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