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書誌学は、文学作品を読み解く上で何の役に立つのか。
巻物や冊子といった書物の装訂や形態にはヒエラルキーがあり、書物とそこに保存されるテキストには相関関係がある。また書物に保存されているのはテキストのみではなく、書物とテキストにまつわる様々な情報も秘められているのである。そうした相関性や情報を把握した上で、作品を具体的に読み解く必要がある。
既存の文学研究では明らかにできなかった事柄を、書誌学的な「読み」によって示す、古くて新しい書誌学の具体的活用法!
【本書にまとめた論文は、「書誌学研究は文学研究において何の役に立つのか」という、世に珍しい書誌学の研究所に所属し、古典籍に囲まれながら書誌学の講義を二十年続けてきた自分にとっての、大きな命題に対する答えとして書いてきたものである。……書誌学は文学研究の基礎を固める学問である、これを疎かにした研究を行うと永遠に真実に辿り着けないのである。既存の文学研究に何が足りなかったのか、そのことを考えることが、書誌学を役立たせる方法をはっきりと教えてくれたのである。】……「あとがき」より
【……内容を深く検討するためには、まずその本文の器たる書物の書誌的な情報を抽出し、それを活かしてその本文の性格や価値を確定した上で、研究に用いるように心掛けることが大切であることを明らかにできたものと確信する。これを行うことによって、誤りが少ないより本格的で深い研究が可能となるのである。……基礎的にして即物的でもあるこの研究方法の有効性は、考察を重ねても揺らぐことはないはずである。】……「おわりに--本書で明らかにしたこと」より
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