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中河与一の代表作の一つ『天の夕顔』のモデルであり、
材料の提供者であった不二樹浩三郎が
書き下ろした『冷たき地上』は、
体験した者のみが書ける生涯を賭けた愛の苦悩の姿
そのものである。
中河が一度も訪れたことのない岐阜県山之村を
舞台にできたのは、不二樹の口述があったからである。
終戦後、中河との確執のなかで、自ら書き残した
未発表原稿を甥の吉田郷氏の編集で世に問う問題作。
付録として、朝日新聞記者のインタビューに応えた
『天の夕顔』に対する不二樹の思いを収める。
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