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本書は早稲田大学の〈ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所〉が『ヨーロッパにおける時間意識』(2012年刊)に続いて,「リヴァイヴァル=再生」の視点から迫った新しい研究成果である。
第Ⅰ部「文化における復興」では,カロリング・ルネサンスや12世紀ルネサンスなど中世ルネサンス論は中世文化の豊かさを示すだけでなく,ギリシア世界を含む古代的な伝統を繰り返しヨーロッパで再生し,革新的な要素を生み出してきたことを明らかにする。
第Ⅱ部「宗教における復興」では,文化・美術上のリヴァイヴァルとはかけ離れて見える近世の宗教現象を,再生・革新の視点から考察すると他分野と共通の流れが見出せる。中世末期の神秘主義や修道制,宗教改革,正教圏の神学などを,保守と革新との対比でなく伝統の再起,過去の選択的利用,反復と復興のダイナミズムとして検討する。
第Ⅲ部「美術における復興」では,イタリア・ルネサンスを中心に,古代への憧憬とローマ再生への意志がどのように展開されているかを,多数の図版を駆使して考察する。
グローバル化,ネットワーク化により知的環境と人文学のパラダイムが転換するなか,専門分野を越えて新たなヨーロッパ理解の可能性を探求する共同研究の試みである。
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