本書は、東アジア地域を主な対象として、貿易統計を利用して代表的な貿易指数を計測したデータベースとして取りまとめたものである。
近年、自由貿易協定や多国籍企業による直接投資を通じた国際分業の進展により、世界の貿易は急速に拡大しつつあるが、なかでも東アジア地域の貿易の拡大は世界全体を上回る伸びを見せている。その背景には、1990年代後半からのこの地域で進展してきた貿易自由化に伴う国際分業の進展がある。さらに、2015年10月に環太平洋バートナーシップ協定交渉が妥結したほか、2015年末にはASEAN経済共同体が発足し、この地域における貿易は、今後いっそう活発となり、経済的な相互依存関係が深まることが予想される。
このような背景から、東アジアを中心とする国・地域について、1990年代後半から直近までの期間をカバーした代表的な貿易指数を計測し、貿易構造や国際分業関係の変化を分析するための基礎的かつ汎用性のあるデータベースとして整備することは一定の意義があると考えられる。
貿易指数データベースについては、これまでも主要な国際機関などが作成・公表しているが、本書は対象地域を絞り込むことにより、これらのデータベースとは以下の点で異なる特徴をもっている。第1に、従来のデータベースよりも詳細は品目分類に基づく貿易指数を作成していることである。それにより、東アジア地域について、より詳細な分析を行うことを可能としている。第2に、ASEANなどの統合された経済圏について指数を作成し、各経済圏における相互依存関係の深化や他の国・地域との貿易構造や分業構造の変化について観察留守ことも可能となっている点である。
そのほか、本書のおおきな特徴として、貿易指数の計測結果とその解説に加え、種々の論考を併せて掲載している点が挙げられる。計測した貿易指数の理解に資するため、指数の背景にある東アジア諸国の経済発展や貿易構造変化の状況、指数に関する技術的検討および計測結果の読み取りのほか、貿易統計以外の統計として、アジア国際産業連関表を用いて東アジア地域の国際分業構造の変化に関する分析を行った結果についても報告している。
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