談 no.105(2016)

特集:科学を科学する

談

出版社よりお取り寄せ(通常3日~20日で出荷)
※20日以内での商品確保が難しい場合、キャンセルさせて頂きます

出版社
たばこ総合研究センター
著者名
たばこ総合研究センター
価格
880円(本体800円+税)
発行年月
2016年3月
判型
B5
ISBN
9784880653839

"自然科学の内部において、近代的な知の枠組みの不十分さが露呈する。人間存在を基礎とする哲学は、現代の科学の進展に対して、合理的説明を与える役割機能を果たせなくなってきた。少なくとも、自然科学の進展によって明らかになりつつある「具体の自然」を前にして、従来の認識枠組みは、すでに十分に失効していると言わざるを得ない。

この現状にあって、人間と自然、認識と真理の間に受け入れられてきた関係を、今こそ問い直すことが必要ではないか。

新たな知の枠組みの〈再〉構築が希求される。エピステモロジー、科学技術史、科学技術社会論の分野から、科学の内部に分け入り、次なる時代の科学を展望する。





●〈現代社会と科学の役割〉

科学と市民参加…不確実性の時代の良きパートナーとして

神里達博(千葉大学教授)

地球温暖化は、不確実性が大きい公共的な課題である。ましてや、大地震のような自然災害は、最新の科学をもってしても、解決が難しい難題だ。国土に潜むリスクを前にして、理性の限界を意識せざるを得ない。そこで一般市民の知恵を活用する動きが出てきた。たとえば、参加型民主主義の試みである「討論型世論調査(DP)」もその一つ。現代社会においてますます重要になる科学への市民参加について、いくつかの方法を事例に考える。



●〈科学という「知」はどう営まれていたか〉

職業としての科学者…その歴史から見る現代

隠岐さや香(広島大学大学院総合科学研究科准教授)

科学者という職業に焦点を当てる。科学者がいかに構想され、制度的な位置を与えられたのか。科学者とは、そもそもどのような存在なのか。そして、いつから社会に登場してきたのか。科学が社会のなかで、いかなる立ち位置を獲得していったか、現代にまで引き継がれる科学と社会の関係を、科学者の誕生という補助線を頼りに紐解く。



〈科学の内実と概念の創造〉

科学のシニシズムに抗して…エピステモロジーの挑戦

近藤和敬 (鹿児島大学法文学部人文学科准教授)

「具体としての自然」を認識することから出発するエピステモロジーは、自然科学の陥穽に陥ることなく、自然に内在する生成の概念を抽出し、諸問題へとリンクを張り続ける。このネットワーク的探求にエピステモロジーの可能性を見出し、科学を新たな枠組みから位置づけ直す。



●怖いもの見たさ…恐怖の二重構造から考える

山根一郎 (椙山女学園大学人間関係学部教授/社会心理学)

「危険な恐怖」と「危険ではない恐怖」という二種類の恐怖。その二重構造の発現という観点から、「恐怖の成熟」、「恐怖の娯楽化」へ持論を発展させる山根氏の“愉みとしての恐怖""論。

お気に入りカテゴリ

よく利用するジャンルを設定できます。

≫ 設定

カテゴリ

「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。

page top