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本書は、チャベス大統領が推進した「ボリバル革命」とはいったい何だったのかについて、政治、社会、経済、外交の各分野における政策およびそのインパクトについて考察するとともに、関連する情報を整理して提示することを目的としている。ボリバル革命は、他のいかなる革命もそうであるように、政治権力構造と経済利益(ベネズエラの場合はとくに石油収入)の分配構造の転換をめざしている。そしてそれを価値体系として支え、方向づけるのが、イデオロギーである。つまりボリバル革命のかぎとなるのは、新憲法制定に始まる国家権力の変革や、政治参加に関する新たな制度構築と新しい民主主義概念の導入である。2007年以降は社会主義を掲げて変革を進めたが、政治制度や経済制度面でまだ多くを達成できていない。20世紀の社会主義革命のように所有構造を全面的に転換するには至っていない(あるいはそれはめざしていない)が、経済活動への国家介入は大幅に拡大し、それが国家経済や国民生活に大きなインパクトを与えている。また20世紀の社会主義革命が所有構造の根本的変革によって貧困と格差を解消しようとしたのに対して、ボリバル革命はそれらの解消には社会政策を通した石油収入の分配を重視している。一方、チャベス大統領のボリバル革命を語るにあたって、外交政策も重要な要素である。チャベス大統領は21世紀初頭において国際社会で最も鋭く反米主義を訴え、イランやリビアなど世界各地の反米諸国とのハブとなったことで知られる。また、石油をてこに強いリーダーシップを発揮した域内外交は、ラテンアメリカ各国の急進左派政権・勢力に大きな影響力をもつ一方で、ラテンアメリカにおける新たな地域秩序の構築に大きく貢献した。
これらのことから、本書ではチャベス大統領のボリバル革命の実態とベネズエラ社会へのインパクトを考察するにあたり、政治制度改革、民主主義概念の変容、社会政策、経済政策、外交政策に各一章ずつあてて議論を進める。
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