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秩禄処分とは、明治9年、華族・士族に与えられていた家禄を廃止し、「武士」という特権的身分を解体した変革である。現代にたとえれば、公務員をいったん全員解雇して公職を再編するようなこの措置は、なぜ、曲折を経つつも順調に実施され、武士という身分はほとんど無抵抗のまま解消されたのか。江戸時代以来、「武士」はどのように位置付けられ、没落する士族たちは、新たな時代にどう立ち向かっていったのかを明らかにする。
「秩禄処分」とは、明治9年、それまで華族・士族に世襲的に与えられていた家禄を廃止し、「武士」という特権的身分を最終的に解体した改革である。
明治維新の「三大改革」といえば、「徴兵制」「学制」「地租改正」といわれるが、本書の著者によれば、「秩禄処分」はそれに匹敵する大改革であるという。
現代にたとえるならば、公務員をいったん全員解雇して退職金も国債での支給とし、そのうえで必要最低限の人員で公職を再編するというような措置である。
この旧支配層の特権を廃止し、社会全体を再構築する政策は、曲折を経つつも順調に実施され、武家はほとんど無抵抗のまま王政復古からほぼ10年で解体されたのだが、なぜ、このようなことが可能だったのか。
本書では、そもそも江戸時代以来、「武士」とはどのようなものと位置付けられていたか、そして、没落する士族たちは、新たな時代にどのように立ち向かっていったのかを明らかにしていく。
既得権を解消して社会を再構築するという本来の意味の「リストラ」に成功した歴史から、現代の私たちが学ぶべきことは多いだろう。
〔1999年、中央公論新社刊の同名書籍の文庫化〕
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