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本書は、複数政党制や競争的選挙の有無という鍵概念からいったん離れ、これまでとは異なるアプローチにより独裁体制下の民主的制度と体制維持の関係を考察する。具体的には、独裁者の課題として脅威の緩和だけでなく正当性の維持(大衆の支持獲得)にも着目し、中国、ラオス、ベトナム、カンボジアの 4カ国を事例に、各国の独裁者が目的に応じて議会を活用し、正当性の維持・獲得に努めていることを明らかにする。その際、閉鎖的体制である中国、ラオス、ベトナムの3カ国と競争的体制であるカンボジアを、党と国家が融合した独裁体制ととらえ直す。そうすることで体制の種類に囚われずに異なる独裁体制を比較の俎上に載せ、政党数や競争的選挙等の政治制度のちがいを説明変数とした分析が可能となる。
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