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斎部広成が著した、平安時代初期の単行法「式」制定の資料として提出された書。大同二年(八〇七)成立。内容は、平城天皇の召問に対し、斎部氏の立場をもって神代以来の祭祀の流れを概観したものである。記紀にはない所伝を含むことから、古代氏族伝承を考える上で示唆に富む。
嘉禄本は、嘉禄元年(一二二五)卜部兼直が藤原長倫本を書写したもの。乾元本日本書紀とならんで、吉田系卜部家の秘本として伝襲秘蔵されてきた。現存諸本中最古のもので、卜部系諸本の祖本でもある。本文に朱墨両様による声点や傍訓・返り点などが多く施されているのが特徴。
暦仁本は、暦仁元年(一二三八)僧寛英が書写したもの。嘉禄本に次ぐ古写本で、虫損著しく巻首を欠くが、ト部本とは別系の、伊勢本系統の真福寺本に連なる写本とされ、傍注の訓点に独自なものがみられる。今回の大型判型カラー版により、古語拾遺の研究はもとより、吉田系卜部家の文庫史や中世神祇史研究の進展に資することが期待される。
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