中山間地域の「買い物弱者」を支える

中山間地域の「買い物弱者」を支える

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出版社
新評論
著者名
関満博
価格
5,720円(本体5,200円+税)
発行年月
2015年10月
判型
A5
ISBN
9784794810205

中山間地域を訪れると、小さな集落で不思議な思いをさせられることがある。土地の人が「このあたりには、以前は店が数十軒並び、パチンコ屋、映画館、呉服屋、旅館まであった」と話してくれた場所には、今では草むした空間が拡がっている。中山間地域で人口減少が進むと商店の維持が難しくなり、最後は「酒店」「理容店」だけになってしまう。特に二〇〇〇年代半ば以降、最後の拠り所とされていたJAの店舗の閉鎖が重なり、問題は一気に顕在化していった。
 同じ頃から「買い物難民」「買い物弱者」の問題がクローズアップされてくる。さらに、二〇一四年の「日本創成会議」による「地方消滅」論の提起は、人びとに大きな衝撃を与えた。
 そして「現場」に足を踏み入れると、伝統的な移動販売、買い物代行や配食などの新たなサービス、あるいは一〇〇年以上前から共同売店を設置してきた沖縄のケースなどに出会うことになる。その担い手は、住民組織、食品店・食品スーパー、商工会、NPOなどであった。ただし、いずれも事業採算性の面では厳しく、担い手の高齢化も進み、持続可能性に懸念が生じている。
 そのような点を注視し、本書では全国の「買い物弱者」を支える象徴的なケースとして、沖縄県や東日本大震災の被災地をはじめ全国二〇のケースを採り上げた(本編一〇章+補論一〇本)。そして、それらの事例の意味するものと今後の課題を明示し、持続可能な取り組みを進めていくためのあり方を考えることを目的としている。中山間地域の「現場」では、人口が「音を立てて」減少している。住み慣れた地域で、人びとが「普通の生活」をおくっていくためのあり方が問われているのである。(せき・みつひろ)

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