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乳幼児期のことを思い出して、ああだったこうだったと言って興奮したり
涙を流したりすること自体が治療だと思う
治療の鍵は,乳幼児期の記憶。その記憶は,人間の一生に深い影響を与える。本書は,児童精神科医として稀代の存在である小倉と,発達障碍の臨床実践・臨床研究において第一人者である小林による論文・対談を収録した1冊である。「乳幼児期のことを思い出して、ああだったこうだったと言って興奮したり涙を流したりすること自体が治療だと思う」とする小倉と,臨床実践や調査・研究から母子の関係性と病理を解明してきた小林による治療論。子どもから成人まで多くの事例をもとに,こころが形作られる原点をめぐる治癒を探る。
小倉 ケースバイケースで、そのときの勘でもって決めればいいんじゃないかと思う。自分の勘を信じて。
小林 小倉先生。それはとってもよくわかるんですけど……その、勘でとかいうふうになっちゃうとそれ以上に議論が進まなくなって。ああ、やっぱり名人は違うなっていう感じになっちゃうわけですよ。
小倉 そうかあ。
小林 だから、勘があんまりよくない人間にとっても、ああそういうことでそうなるのかっていうふうに、わかるようにしていかないといかんなという感じで、今日は先生からいろいろ話を探ろうとしているわけですよ。
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