取り寄せ不可
例えば真田幸村。大坂夏の陣で、天下人・徳川家康に2度も自害を覚悟させるほどの
勇猛果敢な突撃を繰り返し、そしてその見事な散りざまは徳川側の薩摩軍をして
「日本一の兵(つわもの)なり」と評されるほどの武将でした。
が、幸村は決して豪快な人物でも勇猛な人物でもありませんでした。
幸村の兄・信之いわく
「柔和で辛抱強く、物静かで怒って腹を立てることはない」人物でした。
ではなぜ、少ない兵で真一文字に徳川軍本陣に突撃するような行動をとる事ができたのか。
そこには幸村が崇拝した「地蔵菩薩」の存在があります。
幸村の念持仏・地蔵菩薩(神明地蔵尊)は、「地獄からの救済」を功徳に持ちます。
生と死が背中合わせの時代を生きた幸村は、それが宿命であろうと多くの人間を殺めた自分が
極楽往生するとは考えていませんでした。むしろ地獄に行くのは必定と考えていました。
しかし、一心不乱に地蔵菩薩に祈りをささげ救済を求めた幸村は、
「地蔵菩薩に地獄から救済される」と信じていました。言い換えると
「すでに自分は死んでいる、しかし信仰によって地獄からは救われている。
死んでいる者がいまさらなぜ死を恐れようか」と考えていたのでしょう。
本陣突入の際、幸村は
「今は戦いは終わり也。あとは快く戦うべし。狙うは家康の首ただ一つのみ」
とつぶやいたといいます。
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