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人はなぜ暴力を振るうのか。人を殺すと眠くなるというのはどういうことなのか。暴力団、関東連合、ヤクザ、暴走族……アウトローたちの取材を重ねてきた著者ならではの暴力論。新時代の暴力としてネット上での言葉の暴力や動画公開が増えている現状、「1980年代型殺人事件」としての「川崎市中学生殺人事件」など、さまざまな角度から、今そこにあるリアルな「暴力」について論ずる。
「人を殺してみたかった」という理由での殺人事件が近年目立つ。さらに、ネット上には「殺す」「死ね」といった言葉が溢れている。そんな「暴力新時代」に、私たちはどう対峙すればよいのか?
著者は、『トラブルなう』や『関東連合』などの著書を手掛け、ツイッター、ニコニコ動画などのネット、テレビでもおなじみの有名編集者である。裏社会や芸能スキャンダルを扱うアウトロー雑誌での様々な取材経験をもとに、我々のすぐそばにある暴力、裏社会のリアルについて、本書は書きだしていく。
著者の経験によると、殺人を犯した人間というのは、トロンとした眠そうな目をしているという。そして、その目は大量殺人者でもある土方歳三の目に似ているらしい。
また、「川崎市中学生殺人事件」を例に、いわゆる「デビュー」が遅い人ほど危険な犯罪を犯しがちである、という「デビュー論」というものを展開する。
さらに、歌舞伎町の最新事情など、街なかでの暴力の実態とともに、思いがけず被害者となってしまった時の対処についてもきわめて具体的なアドバイスも書かれる。
さまざまな角度から暴力と向き合った本書では、言葉の暴力についても言及する。
本書は、暴力を肯定するのではもちろんない。しかし、現実に暴力は多様な形で「在る」訳だからそこから目を背けてはいけない。
今そこにあるリアルな「暴力」に真正面から対峙した一冊である。
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