外需時代の日本産業と中小企業

外需時代の日本産業と中小企業

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出版社
新評論
著者名
加藤秀雄
価格
3,630円(本体3,300円+税)
発行年月
2015年9月
判型
A5
ISBN
9784794810151

いったい日本産業と中小企業の次代の発展の場はどこにあるのであろうか。その発展の場に日本産業と中小企業は迷いながらも着実に向かおうとしているのであろうか。海外生産の進展を契機に、産業の空洞化問題が語られてから久しいが、日本産業と中小企業の発展の方向性をこの海外生産との関係でどのように位置づけていけばよいのであろうか。こうした問題意識に対する回答を、私は製造現場を中心とする企業訪問を積み重ねながら探し求めている。時にはこの方向に収斂していくことが日本産業と中小企業の発展に繋がるという考えが浮かぶこともあれば、相反する方向を示す事例企業の前では、単純にそうとは言えない現実を思い知らされることも少なくない。
 本書が事例研究対象として取りあげるのは半導体製造装置産業と工作機械産業である。日本産業と中小企業の発展を牽引してきたこの二つの産業を海外市場との関わりで見てみると、なによりも次の点が注目できる。それは工作機械産業においても半導体製造装置産業においても、その外需依存率が、一九九〇年代はじめの三割弱から、現在ではそれぞれ七割弱、八割弱というように大幅に拡大していることである。ほぼ二〇年という時を経る中で、両産業の存立場面としての市場は、大きく海外に転じていたのである。
 九〇年代当時の工作機械産業の外需は、米国市場における自動車産業、航空機産業、そして軍事産業向けのNC装置付き中級機が大半であったが、現在ではそれに加え、海外生産を拡大している日系企業向け、拡大し続けるアジア市場におけるローカル企業等向け、というように多様な広がりをみせている。
 これに対し、半導体製造装置産業は、九〇年代前半まで世界をリードしていた日本半導体メーカーとの相互協力関係の下で発展してきたが、現在では海外有力半導体メーカーを中心とした凄まじい寡占化と、製造装置産業内部の寡占化の進展という新たな枠組みの下、世界レベルでの業界再編も一段と強まっている。
 こうした現実の中で、日本産業と中小企業は、開発競争とコスト競争をどのように乗り越えていくかが強く問われる。本書の現状分析が日本産業と中小企業の次代の発展に少しでも資することができれば幸いである。(かとう・ひでお)

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