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栄養士法の改正(平成14年)により管理栄養士の定義が明文化され、管理栄養士が担う業務内容の一つとして「特定多数人に継続的に食事を供給する施設における利用者の状況をふまえた給食管理」が掲げられた。また、健康増進法の施行(平成15年)による栄養管理義務規定の導入、管理栄養士必置施設の拡大等により、「健康づくりの一環」としての給食の意義が明確になり、特定給食施設における管理栄養士の専門性に対する価値観及び社会的要請は飛躍的に増大した。一方、全国栄養士養成施設協会の調査によると、管理栄養士課程学生の栄養士業務への就職者のうち、毎年85%前後が給食を提供する施設(病院、社会福祉施設、児童福祉施設、学校、工場・事業所)へ就職している。しかし、施設の種類により、給食提供の目的、対象者、運営方法、管理内容等が異なるため、その特性をふまえた適切な対応を行うには、幅広い知識とマネジメントスキルさらには経営センスが必要である。したがって、管理栄養士養成課程における「給食経営管理」は、卒後の実務に直結する学問として、専門職の根幹を作る極めて重要な科目と言える。
給食施設での専門業務に対応できる管理栄養士を育成する上で、「給食経営管理」に求められる教育内容の最新の指針は、平成21年5月に日本栄養改善学会理事会により公表された「モデルコアカリキュラム」と、厚生労働省の「管理栄養士国家試験出題基準」(平成22年改正)である。コアカリキュラムで示されている教育目標は、「特定多数の人々の健康状態・栄養状態の改善・維持・向上、QOL の向上を目標とした栄養・食事管理を効率的、かつ効果的に継続して実施していくためのシステムおよびマネジメントについての経営管理の理論に基づき理解する」である。一方、出題基準に示されている出題のねらいは、①給食の意義および給食経営管理の概要についての理解を問う。②特定多数人に食事を提供する給食施設における利用者の身体の状況、栄養状態、生活習慣などに基づいた食事の提供に関わる栄養・食事管理についての基礎的な理解を問う。③給食の運営方法とそのマネジメントについての基礎的な理解を問う、である。また、コアカリキュラム、出題基準それぞれに具体的学習項目が示されている。
本書の執筆・編集にあたっては、両者に示されている項目・内容に準拠し、管理栄養士免許取得を目指す学生の皆さんの国家試験対策として万全を期すと同時に、管理栄養士として具備すべき知識の習得や専門的実践能力(コンピテンシー)の育成にも配慮した内容・構成を基本とした。また、学生の皆さんの理解を導く上で、解説はできるだけ短文かつ平易にし、イメージを掴みやすくするため、図や具体例をなるべく多く盛り込んだ。14名の執筆者の工夫により、管理栄養士教育に求められる給食経営管理の内容が、実務上の重要エッセンスを含め十二分に網羅されたと思われる。
本書での学習を通して、学生の皆さんが給食経営管理業務の魅力を理解し、国家試験の合格は勿論、その分野で活躍する多くの人材が育ってくれることを願っている。
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