取り寄せ不可
二銭の切符を買い、初めて子ども同士で山手線に乗ったのは小学一年生のときのこと。二・二六事件の朝も、いつものように電車を乗り継いで小学校に通い、「不急不要の旅行」が禁止された戦時下にも、父や級友と旅に出かけていた私は、終戦の日も敗戦後の混乱期も、時刻表通りに走る汽車や電車に乗り、車窓風景に見入っていた――激動の昭和と家族の風景、自らの青春の日々を、時刻表を通して振り返る不朽の体験的昭和史。
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