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手記と俳句から伝わる原爆の生々しい記録……
1945年8月9日、長崎で被爆した松尾あつゆきは、最愛の妻と3人の子どもを手の中で次々に失っていった。炎天下で荼毘に付し、たったひとり残された長女みち子の看病をしながら、その日から出来る限り正確に起こった出来事を日記に書き留め、それをもとに200句もの原爆句を書いた。自由律俳句は今読んでも、たった今起こったかのように生々しく、痛々しく、激しい言葉がつぶてのように読む人の心を打つ。NHK BSプレミアムドラマ「だから荒野」で松尾あつゆきの俳句が取り上げられ、人々の共感を呼んでいる。
[帯文]
すべてを奪われた悲しみと、怒りと、鎮魂と。
松尾あつゆきは、きっと優しい父、温かい夫だったのだろう。『原爆句抄』には、原爆で奪われた家族の幸せな日々の記憶が、静かに息づいている。だからこそ――あつゆきの、そして、あの日うしなわれたすべての命の無念が、胸の奥深くに染みるのだ。
――重松 清
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