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生誕100年・没後50年を経て、本邦初のフリッチャイの本。音楽に魂を捧げた指揮者。
フリッチャイのエッセイより
また、指揮者とはそもそもどうあるべきか、また将来私はどうあるべきかをよく考えてみた。指揮者とは独裁者でなくてはならないのだろうか? いや、決してそんなことはない! もし独裁者だったら、あまたの独裁者と同じ運命をたどることになる。百もの頭を持つ敵に打ち負かされてしまう。指揮者とは、その知識を音楽に翻訳でき、オーケストラの楽員たちと連帯感、仲間意識を築けてこそ存在しうるのだ。正反対な考えにも耳を傾け、彼らの先を行き、納得させ、味方につける。そのうえでこそオーケストラを意のままに操るだけでなく、協働による創造を成し遂げることができるのだ。指揮者は人々を自分のもとに統合するのではなく、オーケストラを真の友人として、作品へ導いていかねばならない…。
モーツァルトはこの世に生きた人々の中で、もっとも偉大な人の一人である。彼は、歌劇において言葉と演技は、音楽の優位の下に位置づけられなければならないと考えていて、歌劇を通じて、すべてを完全に表現することができた。
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