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本書は新興医学出版社の内科系総合雑誌Modern Physicianに2012年4月から掲載された「診断推論トレーニング」シリーズを書籍化したものである。お読みになった方はすぐにお気づきになると思うが、本書は1992年に始まったNEJM誌のClinical Problem Solving(CPS)シリーズの体裁を手本にしている。また、インターネット上無料で視聴できるNIH VideocastingのContemporary Clinical Medicine: Great Teachersシリーズ中、Mysterious Casesと題された症例カンファでTierney先生のような有名どころが実演している診断推論とも似ている。
ただし、おおまかな患者のプロフィールと主訴だけを聞いた段階で臨床医の頭の中ですでに始まっている診断仮説さえもあからさまにするために、何を想定してどんな病歴を聴取するかまでも明らかにしたため、CPSよりは幾分「頭でっかち」になっており、かつ初期段階で鑑別診断を想起するための便(よすが)も提供するように努めた。また、病歴を取り終えた時点で症例提示にも役立つようSemantic qualifierを意識した病歴のまとめを挿入した。その後、身体所見提示に先立って、取りたい身体所見とその理由も明らかにするようにした。なお、字面だけだとどうしても臨場感が弱くなるため、身体所見はイラストの上に重要な所見を図示するように試みた。さらに身体所見を得た上で、なるべく診断に直結する検査を選択理由とともに挙げるように心がけた。
いずれのケースも優れた診断医なら各段階でここまで考えるという欲張ったレベルを目指したつもりである。
個々の臨床医が個人で直接担当できる症例数は一生かけても知れている。一方、忙しすぎる臨床の場で、十分吟味する余裕なく流してしまっている症例に関しては、数をこなしても臨床経験として定着せず、教訓も残らない。そこへいくと、冒頭に述べたようなぶっつけ本番の症例カンファレンスで、他人が経験した教訓を含んだ症例を、実際の臨床現場を再現したような臨場感をもって追体験することは、いわば自己の「経験症例」を効率よく増やしていることになり、記憶への定着もよいと考えられる。そして、そのようなカンファレンスへの参加の機会が得られない人、あるいは更に追加でそれに近い学習をしたい人のために、NEJMのCPSシリーズや本書の存在意義があるのではないかと考えている。読者は、各提示段階で自分ならいかに考えるかをメモしつつ各診断推論のステップを読み進んでいただければ、カンファレンスへの能動的参加と同じくらいの学習効果が期待できるのではないかと期待している。(序文より)
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