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国際リユースをめぐっては、自動車、家電、衣料品などの貿易状況、輸出先での販売状況、貿易規制に注目した研究や、中古品の輸出入の担い手の分析などが行われてきている。しかし、これまで、さまざまな中古品を横断的に扱い、比較検討しながら、国際リユースの実態に迫り、国際リユースをめぐる政策課題について整理した本は、国内外で出版されていない。その背景には、一部の国、品目を除いて、貿易統計上、中古品と新品が区別されておらず、また、各国で中古品の流通に関する調査がほとんどなされていないことがある。本研究では、一部の品目に限られているものの、貿易統計などのデータを利用しながら、輸出国、輸入国での関係者へのインタビュー、中古市場の観察、中古品の購入者へのインタビューなどに依拠して、分析を行っている。
リユースをめぐる用語の使い方には、混乱がある。使用済みとなったあと、機能性のテストや修理、再製造などを実施する場合があるが、どこまで行えば新品と同等とみなすのか、あるいは、機能性のテストや修理などを行わなければ廃棄物とみなすのかといった点で、さまざまな考え方が存在しており、国際的な共通認識はまだできていない状況である。国際的な共通認識がない状況のなかで、各国の認識の違いから貿易規制の適用をめぐって議論となり、貿易が滞るケースもある。このような事態の予防のため、また、貿易規制の効果的な実施のための議論が必要となってきている。
したがって本書では、古着、中古自動車、中古自動車部品、中古農業機械、中古電気製品などの中古製品を対象に、経済学、経済地理学、文化人類学、社会学などさまざまなアプローチで、国際リユースの実態を明らかにすることをねらっている。そのうえで、中古品が国際取引されている経済的・文化的背景、その担い手、販売店の集積、発展途上国の産業発展への影響、政策課題などについて検討を行った。オートバイ、ミシンや編み機、石油ストーブなど、本書では十分に言及できていない品目も少なくないが、国際リユースをめぐる共通の論点を抽出し、検討している。
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