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日本史上、考えられない選択がされた原因とは――
なぜ日本は勝つ見込みのない道を進んだか。故郷・岡崎の戦前戦後を振り返りながら、繰り返してはならない過ちの本質に迫る評論エッセイ
「……わが国の歴史の連続性の中で捉えた場合、どのような歴史観に立脚しようとも、あの戦争への道の選択が正しかった、という結論にはならない、と私は思う。理由は、単純化すれば、あのような「やくたいもない」戦争を遂行するという選択は、わが国の歴史、その精神的・文化的伝統の線上からはどのように考えても出てこないと思うからである。
……敗戦が確実となった、少なくとも終戦一年前の時期になぜ潔く終戦の決断ができなかったのか。それができていれば、沖縄の悲劇はなかったし、空襲や原爆などによる膨大な国民の生命や財産の消耗は避けられたはずである。
…… 敗戦後六十年を経過し、明治維新から敗戦にかけての八十年が、歴史の一頁になっているいま、明治維新で目指したものと敗戦という結果に至った経緯を深く省察し、そこから教訓を学びとって、これからの国の進路に生かしていくことが求められている、と思うのである。」
(「序――あの戦争のこと」)
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