ハンセン病の「脱」神話化

ハンセン病の「脱」神話化

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出版社
皓星社
著者名
西尾雄志
価格
3,080円(本体2,800円+税)
発行年月
2014年12月
判型
A5
ISBN
9784774404943

著者「序」より

治療法の確立、法の改革、裁判における判決など、ハンセン病の差別を軽減させる条件は整う一方であるように見えるにもかかわらず、ハンセン病に対する差別はなぜ存続するのか。(中略)本書全体で試みていることは、これまで歴史学やライフストーリーの社会学などで論じられることの多かったハンセン病問題を、経済社会情勢をふまえてより広範な分野からアプローチすることである。

(中略)日常の生活において、ハンセン病を意識する機会はほとんどないと言ってよい。ハンセン病を意識することがほとんどないまま、ハンセン病そのものは世界的に着々と制圧されている。「人類が共通して犯した罪」という「負の遺産に対する忘却の始まり」のようにも思える。(中略)ハンセン病を病んだ人びとがひっそりと宿している記憶に耳を傾け、それを記録として残し、将来世代の記憶へとつなげていくことが、私たちの世代の歴史的な責任であろう。そして、このような「内観的な」視点を確保しつつ、その背景にある社会的経済的情勢を観察者として「外観的に」捉える姿勢の双方が要請されているはずである。

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