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空間を構想する方法を追求しつづける建築家・原広司が、
ホメロス、ウパニシャッドからエリオット、宮沢賢治まで、
2500 年間にわたる重要なテキストに向きあい、
〈様相〉〈変わること〉を把握し、表現することを試みる――
市原湖畔美術館「原広司:WALLPAPERS」展(2014 年10 月4 日~12 月28 日)公式図録
原広司による〈写経〉とは、半世紀以上におよぶ空間についての思考の過程で原が影響を受けたテキストに向きあうトレーニングであり、自然と呼応して刻々と変化する仮想の建築のファサードの設計行為でもある。2013 年10 月から1 年間に撮影された主に夜明け、夕暮れの空模様などの写真をもとにつくった〈情景図式〉に、トレーシングペーパーを重ね合わせ、〈情景図式〉に合わせて文字の色を変えながらテキストを書写していくのが、〈写経〉の方法である。
本書には、原広司による空間概念探究の新たな試み《WALLPAPERS》展での〈写経〉作品の図版に加えて、〈写経〉の方法とその意味、取りあげたテキストについて解説した原広司の論文と、〈様相〉〈変わること〉に着目して構成した原の代表的な建築作品やプロジェクトの図版、さらに原の将来の著作『空間の文法』を準備する2 つの補論を収録。
さらに本書の中心となる〈写経〉図版と解説ページは、作品で実際に使われているトレーシングペーパー(小口袋とじ)を用いるなど、〈写経〉パート、建築図版パート、論説パートのそれぞれに個性をもたせた他に類を見ない造本により、新たなる空間構想の表現を試みる。
【本書の構成】
〔写経〕
ホメロス『オデュッセイア』、ウパニシャッド、アリストテレス『形而上学』『自然学』、法華経、ナーガールジュナ『中論』、『千夜一夜物語』、鴨長明『方丈記』、ライプニッツ『単子論』、『グリム童話集』、リーマン『幾何学の基礎をなす仮説について』、ソシュール『一般言語学講義』、ジョイス『ユリシーズ』、エリオット『荒地』、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』、大江健三郎『万延元年のフットボール』等々、古今東西におよぶ40 数冊の著作から選んだ重要なテキストの〈写経〉作品と、それぞれのテキストの意義と〈写経〉の意図するところを平明に説いた解説を収録。
〔建築作品〕
〈様相〉〈モードチェインジ〉〈トラヴァーシング〉〈記号場〉など、〈写経〉とも深く関わる原広司の空間概念を表現した建築作品写真。梅田スカイビル、JR 京都駅ビル、札幌ドーム、しもきた克雪ドーム、原邸などの住宅作品、ラテンアメリカの実験住宅、ライディングプロジェクトほか収録。
〔補論〕
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