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本書は,文学や思想,歴史など人文学系の学習を始める新入生が,専門分野を超えて最低限の知識,素養として習得すべき内容を簡潔にまとめたものです。
かつて教養科目が講じられていた時代は,各分野に定評の概論書がありましたが,今日ではこの種の概論は講義や書店からも姿を消してしまいました。
学問の専門化が極度に進み,教員も学生も自分の専門分野のことしか考えない傾向がありますが,学問はつねに全体を視野に入れつつ,具体的な事柄を正確に認識し判断を構成するものです。とりわけ人文学は人間と文化を総合的に探究する学問であり,それに伴う膨大な見識を養うことが肝要です。そのためにも人文学の基盤的な知識の習得は4年間の勉学を稔りあるものにするうえで,おろそかにできません。
高等学校までの「知識を授けられる教育」と異なり,問題を見いだし,それに答えていこうという「自立的思考の訓練」をめざす大学教育は,人格の形成と市民的教養の涵養という人間力を高めるうえで,実用的な学問や資格の取得に勝るとも劣らない営みなのです。
前半では教養や人間性を基礎とする人文学の歴史を,後半では主題ごとに人文学の対象や方法を分かりやすく説明した,他に類のない画期的な概論です。
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