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本書はデカルトの誤謬論と自由概念に関して,『省察』と『哲学原理』(第1部)とを比較検討したものである。誤謬論の本質は,『省察』でも『哲学原理』でも「神は欺瞞者でない」ということの認識であった。この〈神の認識〉を巡って論が展開される。
著者は『デカルトの「観念」論??『省察』読解入門』の刊行後,次のような批評を受けた。それは「『省察』では,神の存在証明が出現した後では「非決定の自由」は「不決定」ということで,精神の弱さを証すものとして消極的に解されたのに対し,『哲学原理』では,同じ「非決定の自由」が,神の存在証明や明証性の規則の定立後にも全面的に肯定されている」という指摘と,「何故『第四省察』においては,内発的同意の自由が強調されるのか」という疑問であった。
『省察』から『哲学原理』へのこの〈自由〉概念の変遷の問題は,ジルソンの『デカルトにおける自由と神学』(1913年)にまで遡る。デカルトを神学的折衷主義としたジルソンの説は,わが国でも半ば定説となった。しかし著者はジルソンの神学論争に関わる考証は外面的であるとして,『省察』と『哲学原理』に内在する固有な論理を追求するためテキストに即してこの問題を検討し,独自の見解を展開した。
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