取り寄せ不可
危うさのない人生など、ありえない。
「太陽の季節」以来、半世紀以上にわたり作家として、そして政治家として脚光を浴び続ける筆者の最新短編集。伊豆諸島から九十九里沖まで丸三日間、身一つで漂流した男の体験、あるいは人生で成功を収めた男が、学生時代の仲間との無銭旅行を振り返って覚える月日の流れの無情さ……。作者自身の自画像を投影しつつ、人間の生と死が交錯する一瞬を鋭く切り取った、『わが人生の時の時』などに連なる傑作短編集。
豊崎由美さんと栗原裕一郎さんの共著『石原慎太郎を読んでみた』が読書界の話題をさらうなど、再評価の機運が高まる石原文学。タイトル通り、今年82歳を迎えるとは思えないほど過激な短編集です。ともすれば政治家としての言動に注目が集まりがちな筆者ですが、この機会に、ぜひその奥深い文学世界に触れてみてはいかがでしょうか。
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