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中国,北アジア,中央アジア,ベトナム,朝鮮,日本などの東アジアにおいて,中国との影響関係や地域の独自性をテーマに即して考察した総合的研究である。従来は中国の影響下に周縁地域を分析する方法が主流であったが,本書は周縁地域を中国で創造された制度・文化の一方的な受容者として見るのではなく,固有の制度や文化を創造する主体でもあることを重視し,また周縁地域におけるそれらの授受関係による地域間交流の促進にも着目する。
Ⅰ部「「家」の履歴」では,「家」にまつわる情報がいかに生成し,継承・利用されていくのかを中央アジアとベトナムの事例を通して明らかにする。
Ⅱ部「情報:生成と伝播」では,中国で形成された情報の型(フォーマット)が西方地域や日本にどのように伝播したかに光をあてる。
Ⅲ部「情報:制度と現実」では,中国の西北地域と朝鮮を通して,情報伝達の制度を復元し,その制度が直面した錯綜する現実を考察する。
Ⅳ部「情報:収集と利用」では,公私にわたる政策立案には,情報の収集・独占とその積極的な活用が不可欠であることを,モンゴルや近代以降の日本,とりわけ中心化する東京の例をあげて分析する。
未見の一次史料や,活用されてこなかった史料を駆使した分析により,新たな歴史像の展開を試みる。
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