コンピュータの急速な技術発展と普及拡大に伴い,様々なシステムが開発され,生活の中に多くの利便性と有用性をもたらしてきた。これらのシステムではソフトウェアの役割が大きな位置を占め,ソフトウェアの重要性が増してきたが,ソフトウェアは大規模化,複雑化してきたため,これに対応するためソフトウェアシステム工学の必要性が増大し,その技術が築き上げられてきた。
本書は,ソフトウェアを中心とするシステムの開発について基本的な概念を学ぶことができるテキストである。ソフトウェアの開発プロセスは,要件定義,設計,構築,テストから構成されるが,要件定義と設計の上流工程ついて,基本的な知識の習得と,演習問題を通じた開発の体験ができることを目指している。
例題や演習問題では,図書館業務や,会議や催しなどでの参加者の出席管理を行うイベント管理システムといった,わかりやすく具体的で,なおかつ一貫した事例に基づき,オブジェクト指向アプローチ(OOA)とデータ中心アプローチ(DOA)を統合した開発手法を解説している。また,ノンプログラミングツールを用いることにより,容易に上流工程の成果物を確認することができる。
情報系や経営系などの学生のみならず,ソフトウェアのシステム開発職をめざす学生,また開発現場の社会人にも役立つこととなろう。
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