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『純粋理性批判』の研究史では,弁証論の研究は感性論や分析論の研究に比べ手薄であった。またわが国のカント研究は,時代の要請もあり実践理性への関心が強いが,世界的にはここ四半世紀,超越論的弁証論の研究が著しく進展している。
本書ははじめに1770年の『就職論文』から1781年の『純粋理性批判』にいたる〈沈黙の10年間〉に着目し,超越論的弁証論の概念と構想がいかに獲得されたのかを発展史的に考察する。
次に超越論的弁証論における三つの特殊形而上学批判である,魂,宇宙,神について,合理的心理学を批判する誤謬推理論,合理的宇宙論を批判するアンチノミー論,合理的神学を批判する理想論,それぞれについて本格的な論点分析的解釈を展開し,理性批判の究極の問題状況を明らかにする。
旧来の独断的形而上学のみならず自己の思想をも批判の対象にしつつ,超越論的弁証論を形成してゆくカントの過酷な自己超克の軌跡は,批判哲学の精神とは何かを伝え,印象深い。
本書は形而上学の無制約的領域で人間理性が避けがたく陥る無根拠性の危機と,その「深き淵より」自らを救う理性の自律的な根拠づけの試みを「理性の深淵」として捉えた,気鋭の著者による挑みの書。
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