ありふれた愛じゃない

ありふれた愛じゃない

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出版社
文藝春秋
著者名
村山由佳
価格
1,650円(本体1,500円+税)
発行年月
2014年3月
判型
B6
ISBN
9784163900360

藤沢真奈は32歳、銀座の老舗真珠店でチーフマネージャーを務める。お局の部長に目の敵にされながらもやりがいをもって接客に励んでおり、顧客の信頼も厚い。私生活では6歳下の大野貴史と半同棲状態にあり、結婚も遠くなさそうだ。夢ばかり見るかつての恋人との苦い生活を経て、真奈は安心と穏やかな日常を望んでいた。ある日、真珠店の高橋社長に呼び出された真奈は、タヒチ出張への同行を命じられる。真珠を買い付けに行くのだ。抜擢を喜ぶ貴史にも背を押され、真珠の猛勉強を始める真奈。「気の早い新婚旅行」で自分も後から向かうという貴史のプロポーズに泣きたいほどの幸せを感じた真奈は、しかしどこか心細さを感じていた。

タヒチで真奈は意外な人物と再会する。かつて熱烈に愛した男、朝倉竜介だ。大学時代からつき合っていた竜介は、まるで生活能力のない男だった。卒業後もろくに働かず、口癖のように「南の島でヤシの実でも採って適当に暮らしたい」と言うばかりの竜介に真奈は疲れ果て、生皮を剥ぐ思いで別れたのだ。そんな中、トラブルで貴史の到着が3日も遅れることに。心細さを抱えたまま、タヒチの開放的な風土と本能のままに生きる人々に囲まれた真奈は、一層増した竜介の逞しさと官能性に胸をざわめかせる自分に気づき、貴史への罪悪感に心悩ませる―-

同性上司との対立と和解、自分らしく働きたいという思い、年下の恋人への遠慮、人生で最も愛した男の記憶……恋愛と仕事に心揺れる大人の女性であれば誰もが胸に覚えのある切実なテーマを描き、読む者のこころを強く捕える、激しいラブストーリーが完成した。 著者は2度のタヒチ取材を敢行。美しい海や島々の豊かな自然、世界一のリゾートホテル「セント・レジス」の豪奢な空間、人々で賑わう朝市や屋台村「ルロット」の猥雑な魅力、出産のために訪れるクジラ……精緻な描写で楽園の島の風物もリアルに伝える。

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