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滋賀県多賀大社所蔵の滋賀県指定有形文化財の紙本著色三十六歌仙絵は、浅井長政の侍大将、遠藤喜右衛門直経が永禄12年(1569)に寄進したものである。六曲一双の屏風に仕立てられているが、当初は三十六枚の扁額であった。遠藤喜右衛門は槍の名手で知られた豪傑であったが、姉川の合戦で落命する。この喜右衛門が、歌仙絵を寄進した背景には、幼い頃からひそかに心を通わせる女がいた。戦乱の北近江に雅な風にのって咲いたあだはなとは。武将の心情を、多賀大社宮司である著者の筆がすくい上げる。
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