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意志の自由という問題は,アウグスティヌスを起源として16世紀後半ジェズイット(イエズス会)の思想家たちによる単純化を通して対極まで押し進められた。
アウグスティヌスの自由は「知性に導かれて意志が真理を享受する」ことであり,ジェズイットでは知性を無視してその反対を選ぶ「非決定の自由」であった。
デカルトはそれら両極の思想を同時に享受したとされ,「彼は立場の一貫性を放棄したのか?」というデカルト自由意志論に対する難問が突き付けられた。それに対しこの百年間ほぼすべての研究者は「一貫性は失われていない」と答えてきたが,その理由が説得的に説明されることはなかった。
本書はその問いに本格的に答えるため,アウグスティヌスと後期ストアのモリナ,スアレスにおける自由の理論を原典に即して丁寧に読み解き,それを踏まえてデカルト自由意志論の解明を試みた貴重な業績である。
また哲学史的考察により,自由意志の底に二つの流れを発見する。「外部からの拘束を被っていないから自由なのだ」という〈実感(自然)の論理〉と,この論理の延長線上に反省や論証を通して見出せる〈思考(概念)の論理〉である。多くの学説の底流にあるこの緊張を通して生動的な自由思想の姿が見えてくる。
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